10/19(土)、児童虐待防止協会の特別セミナー「虐待してしまう親の理解と対応」の講演会に、代表理事、事務局長、看護師のコアボランティアの3名で参加いたしました。講師は、山梨県立大 西澤 哲教授、先生は目黒区の女児虐待事件で被告の心理鑑定にも関われました。
児童虐待は世代(親子)間に連鎖する事例が多いが、なぜ連鎖してしまうのか。体罰肯定感(日本人の6割が肯定、自分の体罰を肯定する口実として)、被害的認知(こどもからの被害)、自己欲求の優先傾向(愛情、依存欲求の未充足の結果、こどもの頃に愛情を受けてこなかった)の3つが主要な因子であるとされる。虐待の本質は、親によるこどもの乱用性(こどもへの八つ当たり、親がこどもを利用している)である、体罰も、こどもに自分のいうことを聞かせたいという有能感、達成感という力の乱用、支配性であるとされる。また依存欲求の未充足と虐待にも関連がある。依存症の病理として、薬物依存、賭博依存、男性依存、ネット依存など、深刻な虐待に関わる母親には、強い依存、愛情欲求の未充足が認められる。また父親は、自己の効力感、自尊心の形成不全からくる支配の追求とされる。
虐待傾向のある親の心理的支援として、体罰やネグレクトの有害性の認識形成→心理教育(他者視点の獲得、共感性と罪悪感を取り戻すこと)、体罰を用いないという契約(嗜癖としての理解)→半年間とか約束する、その上で、心の中で何が起こっているのか、体罰の背後にあるものの分析(アタッチメントとの関連より)、最後には「過去との決別→親で形成されたグループにおける安心感、アタッチメントの形成を示唆されました。
大阪市西区のネグレクト死事件の加害者の母親の心理鑑定の経験より、「ママのロールモデル」の経験および育てられたことの喜びの欠如が原点にあって、それを改めて作り出すことが大切だと感じました。